「林業」という仕事を知っていますか?

おそらく、名前は聞いたことがあるけど…?な人がほとんどでしょう。では、林業に従事している人が日々どのような仕事をしているのかご存知でしょうか?

森の木を伐採し、切った木を加工して販売することも林業の1つですし、森に木を植えることも林業の仕事の1つです。国土面積の約70%は森林であり、先進国の中では有数の森林大国が日本です。

その貴重な資源である森林をどのように活かし、どのように次の世代に受け継いでいくかを考え守り継ぐ仕事が「林業」です。
最近は、林業を体験できるイベントやインターンシップの開催も増えており、林業に興味を持った人が気軽にふれやすい環境になってきています。そこで、この記事では林業とはどのような仕事なのか?まとめました。
林業に少しでも興味をもっている人は必見です!

林業に関する統計

林業従事者数

林業をはじめ、一次産業に従事する人は年々減少してきています。

農林水産省が発表した平成27年のデータでは、
■林家戸数  82.9万戸(令和2年に更新された数字では69万戸まで減少)
■林業就業者 6.4万人(うち65歳以上の方が1.4万人
■林業従事者 4.5万人(うち65歳以上の方が1.1万人

同じ年での情報比較ではないので、おおよその目安としてですが、
平成29年の漁業就業者数 15.3万人
平成30年の農業就業者数 175.3万人
と、他の一次産業と比べると林業従事者数が圧倒的に少ないことがわかります。

2019年の新規林業従事者は2,855人だそうです。

林業が盛んな地域

林業が盛んな地域は
1位 北海道
2位 岩手
3位 岐阜

3位以降、結構変わるようなのでざっとご紹介すると、
広島県・福島県・秋田県・島根県・大分県・岡山県・長野県・宮崎県・高知県…
あたりが林業経営体数の多い所、ということでした。

林業の仕事




林業の仕事は、基本的に荒天の日は現場は休みとなります。
森に入り足元の悪い中での作業となるため、危険度が増すからです。土砂崩れや川の増水、地盤の緩みにより思わぬ方向への倒木など危険がある日は山には入れません。
※現場は何人かのチーム編成で任されることが多いため工程はチームリーダーが采配します

また、全国的な課題として、林業従事者の平均年齢が高齢化し、若い担い手が減少している傾向にあります。
その反面、チェーンソーなどを扱い、専門的な知識や技能が必要であることから1人前になるまでに数年の年月が必要であり後継者がすぐには育ちにくい環境にあります。


林業に従事するためには?

林業に従事するための方法は主に5つです。

1:森林組合の現場職員に入る
2:民間の林業会社に就職する
3:林業の第3セクター(※1)の職員になる
4:林業の地域おこし協力隊(※2)になる
5:林業学校に入る
※1 第3セクターとは;国や地方公共団体と民間組織が共同出資によって行う事業のことです
※2 地域おこし協力隊とは;都市から過疎地域等の条件不利地域に移住して地域協力活動を行う働き方のことです

また、下記のような情報サイトも情報収集の参考になります。
【情報サイト】
・林業就業支援ナビ|http://www.nw-mori.or.jp/
・自伐型林業推進協会|http://jibatsukyo.com/
・森林・林業学習館|https://www.shinrin-ringyou.com/ringyou/

1年の仕事

林業の仕事は1年を通して行われます。
地ごしらえ→植栽→下刈り・つる切り→枝打ち・除伐→間伐
と、1年間で季節ごとの作業を行います。

・地ごしらえ/2月〜3月に行う作業です。立木を伐採した跡地を整理して、苗木を植えられるように準備をします。
・植栽/4月〜5月におこなう作業です。苗木を1本1本植えていきます。
・下刈り・つる切り/6月〜8月に行う作業です。苗木の成長を邪魔する雑草や、かん木を刈り払って苗木の成長を助けます。
・枝打ち・除伐/9月〜10月におこなう作業です。余分な枝を切り落としていきます。
・間伐/11月〜12月におこなう作業です。木の成長を助けたり、木材を収穫するために木を切り落としていきます。

このような工程を繰り返し、森を育てていくことが林業の仕事です。

収入

林業の平均年収はおよそ330~440万円ほどと言われています。
最大年収:約550万円
平均日給:11,910円

林業の業種別年収
民間の林業会社:427万円
森林組合の現場職員:328万円
林業の第3セクターの職員:334万円
海外産業植林センター:340万円

従事者への支援

林業への従事を希望する人に国が補助金を出しています
■林業への就業に向けて林業大学校などで学習に安心して専念するための給付金制度
緑の青年就業準備給付金
■新規の林業就業者への研修費用補助金
「緑の雇用」内容および申請の流れ

林業の魅力を従事者に聞きました!

高知県土佐町で林業に従事するKさんとHさんから、1日の生活や林業の魅力について話を聞きました。


1日の仕事の流れを教えてください。

Kさん(自伐林家)の場合
自宅から現場への距離に関係なく、だいたい朝8時半ごろ現場に集合します。
作業内容は、現場の下見から、作業道の開設の必要があればルートの踏査~ユンボによる作業道開設作業、間伐、搬出、木材市場やチップ業者への搬送などです。

昼休憩以外は、その日の作業量や運動量、メンバーの疲れ具合を考慮して、適時休憩を挟み安全を何よりも優先に作業をしています。16時を一応の定時と決めており、天候が問題なければその時間まで作業をして、片付けや機械のメンテナンスの後解散となる流れです。

Hさん(農業・林業インターン終了後、自伐を目指す)の場合
自伐林業(搬出間伐を行う場合)の主な工程です。
1:森林組合にトラック借りて機械置場へ
2:機械置場でユンボをトラックへ積込んで山の土場(トラックが入れる終点)へ
3:土場から現場までユンボを回送
4:作業道開設のためのルート選定
5:ユンボで作業道を開設。
6:作業道を強固にするために石を現地調達したり購入したり
7:開設した作業道を活用してチェーンソーで間伐(伐倒、造材、玉切り)
8:ユンボや林内作業車で集材
9: 集材した材をトラックに積込(グラップルやユンボ、ユニックや林内作業車で積込)
10:トラックでパルプ工場や木材市場へ搬出
※1~3の作業で丸1日かかることもありますし、例えば5や7などは、ぶっ通しで1週間ずっと同じ作業をしていることもあります

1年の仕事を教えてください。

Kさんの場合
間伐作業に適していると言われる「伐り旬」の時期(9月~4月)の間を中心に、任せてもらえる山に順番に作業に入っています。
それ以外の期間は、町内の登山道の草刈りや倒木処理などを請け負って整備作業をしたり、メンバーそれぞれが副業をしたりしています。

Hさんの場合
初春(4月下旬くらいまで)⇒間伐
夏⇒切捨間伐、皆伐
夏~秋⇒作業道の修繕・開設
冬~初春⇒間伐
という流れです。

収入はどのくらいでしょうか?

Kさんの場合
年間を通して林業をやっているわけではありませんが、林業では7ヶ月で200万円ほどで、それにそれぞれの副業分がプラスされる。

Hさんの場合
1日1万円位には、なっていると思います。
例えば、今、最も多い40年生~50年生のスギが立ち木で1本3000円~10000円位です。
平均を5000円だとします。
・1日かけて立木を10本伐倒、造材
・1日かけて2人作業で林内作業車で集材(作業道がついている前提)
・1日かけてトラックで搬出
※林内作業車レンタル⇒¥500/1日(一例)
※トラックレンタル⇒¥5000/1日(一例)
※ベテランの人は1日に100本くらい切る人もいます


林業の魅力について教えてください

Kさん
林業は、国や自治体からの補助金なしでは成り立たっておらず、現状では産業とは呼べないような側面もあります。その反面、木材の売り先の開拓や技術の研鑽などにより、補助金なしでも成り立っている林家が現実にあることからも仕事としての可能性を感じるし、自分が関わることにより、社会的な問題となっている森林整備の停滞に一石を投じることができ、それが収入につながるという事実が魅力といえるかもしれないですね。
それに加え、山で身体を動かして働くという喜びは、何にも代えがたいものがあります。
そういうすべての点が、山林を所有することにより一層面白味がますと考えています。

Hさん
山を手放したいと思っている人が多いので自分の山が手に入るかもしれません。
そうなれば、作業の日程から段取り、作業の方法、ペースを自分で決められるので(山があれば経営ができる)、技術があれば多分儲かります。(儲かる山を選ぶ技術や機械の操作技術などはもちろん必要です。)
若手の林業仲間が多いことも仕事を楽しくしています。

Mさん(林業体験に参加後、自伐林家を目指し奮闘中、岡山へ移住し山も購入)
自伐でやれば自分で仕事の調整ができるのは大きいと思います。
また、環境に貢献することもできるし、自然の中で仕事をすることは心身にもよいと感じます。
自分が理想とする山を作っていけるやりがいのある仕事だと思います。

まとめ

いかがでしょうか。
林業についての情報をまとめていきました。

最後に、もし「林業の仕事を実際に体験してみたい!」と思い読まれた方に。
私たちおむすビーズは、地域の一次産業への従事者を増やすことを目指しています!
そのために、参加費・宿泊費無料で体験できる2泊3日の林業体験や1週間程度の林業インターンシップを企画運営しています。



頭で考えるよりまずは体験し、実際に従事している人から話を聞いてみることが大きな刺激になるかと思います。


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