「森林環境税」

地球温暖化防止や国土保全のために、森林を整備・管理する財源として創設予定。
森林環境税、国民1人1000円、2020年度以降(平成32年度)国が個人の住民税に上乗せして徴収し私有林の面積や林業従事者数などに応じて市町村や都道府県にに配分することが検討されています。

導入時期については2019年10月に予定する消費税率の引き上げを考慮して、2020年度以降という意見もありますが、東日本大震災の復興のための増税が終わる、翌年度の2024年度という見通しが強いようです。

対象は住民税を支払う6200万人(年収 約100万円以上)で年620億円もの財源になるんだとか・・・。

国内の森林のこれまでと現状

国内の森林は、戦争中に乱伐されたことにより一度は荒野と化します。
しかし、戦後の復興と住宅需要を見込んで大量に植林されることとなり、今では国内における森林は約7割で、
その内の約4割が人工林となっています。

実際に戦後の復興等で木材の需要が急増し、材料不足で木材価格は高騰。
政府は拡大造林政策に取り掛かります。

拡大造林政策というのは、広葉樹の天然林を針葉樹に置き換えることで、
広葉樹が伐採された跡地への造林をはじめ、里山・奥山の広葉樹を伐採し、
比較的成長が早く、経済価値のある針葉樹を植栽していく政策です。

針葉樹…針のような形をした葉を持った木。(スギ・ヒノキ・アカマツ・カラマツなど)
広葉樹…ひらたくて幅の広い葉を持つ木。(サクラ・クスノキ・カツラ・カシなど)




針葉樹【スギ】


広葉樹【サクラ】


木材価格の低迷


昭和30年代から木材輸入の自由化が始まります。
「価格が高騰している国産材よりも輸入したほうが安くつく」ということで、海外からの木材輸入量は年々増えることになりました。
こうした輸入の影響で国産材の価格は落ち続けることとなり、日本での林業経営は難しくなっていったようです。


間伐(手入れ)されている状態

結果、戦後大量植林された木々は伐採期を迎えているのですが、所有者が不明な森林も多く、間伐などによる適切な管理が行われていません。

現在、森林は国土の7割近くを占めており、継続的な手入れが欠かせない状態です。
総務省は、木材価格の低迷や所有者不明の森林の増加で、現状では「森林管理に限界がある」と指摘し、森林環境税の必要性を強調しています。

間伐とは...込み過ぎた森林を適正な密度で、健全な森林に導くために、
     また利用できる大きさに達した立木を徐々に収穫するために行う間引き作業のこと


市町村との二重課税となる問題


森林環境税はまだ導入されていませんが、実際は既に森林の環境整備や水源の保全を目的に、名前はそれぞれ違いますが37都道府県と横浜市で独自の地方税を徴収しています。
しかし明確な使い道がなく無駄遣いがされているという不満の声もでています。

その一方で消費税や他の税の増税には厳しく反発する国民も、「森林のため」「自然環境のため」という名目だとあっさりと受け入れてしまう傾向もあるようです。

とはいえ2024年度から創設される森林環境税、国と市町村で「二重課税」になるとの懸念が残ります。

「森林バンク」

人工林を保全する新事業「森林バンク」制度が2019年度から始まる見通しです。
放置されたスギなどの人工林を市町村が集約し、意欲ある林業経営者に貸し出す新たな制度「森林バンク」。
所有者がわからない森林などは市町村が直接管理します。
間伐の管理も適切に進め環境保全や防災へとつながるよう、山林を集約し、運搬網を整えて効率化を図ります。

森林バンクを機能させるには、森林の所有者の特定とその境界を明確にすることが必要となるため、課題は山積みですが、
林野庁は所有者の申告や地籍調査などにもとづく「林地台帳」を来年度中に作成し、
「森林バンク」にかかる必要な財源は森林環境税で賄いたいと考えているようです。

木材の輸出が高水準に



海外で増える木材の需要


木材の輸出が40年ぶりに高水準となった。(平成30年1月)
杉をはじめとする国産材の需要が中国を中心にアジアで増えている。
国別で輸出額が最も多いのは4割を占める中国で、スギを中心に丸太の需要が旺盛。
工業製品を運ぶパレットや敷板、家電製品などの梱包材用途に使用される。
健康・美容志向の高い韓国には香の強いヒノキが人気で、
米国では住宅フェンス用の杉製品が人気。
輸出増しの背景には梱包資材用向けに競合するニュージーランド材や、環境規制が強化された北米材等、世界的木材の高騰といった理由があるようだ。(日本経済新聞より一部抜粋)


中国の建築法規改正に期待

現在、国産材の用途拡大が進んでいます。
2018年8月になれば中国の建築法規が改正され、建物の柱や梁(はり)などの骨組みに使う「構造材」に、日本の木材が使用可能となるそうで、使用していいのはスギ・ヒノキ・カラマツの3種類です。
これにより中国への更なる輸出拡大が期待?できるのかもしれません。


【森林環境税と森林バンク】で林業の在り方が変わる?


林業従事者の高齢化、後継者がいない問題が、森林環境税での人材育成で緩和される可能性があります。
森林バンクを機能させることができれば、所有者がわからず放置されている森林も市町村が手を入れ、林業経営者に貸与するため、林業経営規模を拡大することができます。
また、一度に伐採や間伐をする森林を集約できれば、作業効率の向上とコスト削減にもつながりそうですね。


森林バンクによる林業経営規模の拡大を通じて日本の林業を再生する好機となるかも!?


<花粉にも影響する?>
戦後の経済復興の中、スギの植林が盛んに行われたことにより、国内にはたくさんのスギがあります。
林業経営が難しくなったことで、適切な管理が行われていない森林が多い中、スギも例外ではありません。
手入れがされなくなった人工林のスギの多くは樹齢30〜40年。
そしてスギ花粉というのは、樹齢30年以上のスギから多く生産されるといわれています。

森林バンクで放置されている森林にも適切な管理が行き届くようになれば、日本のスギ花粉は減り、花粉症も減るかもしれません。
今後の花粉症の行方は、森林バンクがどう活用されるかにかかっているといってもいいのかも!?

林野庁は現在、間伐を実行する場合には、雄花の多く着いているものを優先するよう森林所有者に呼びかけたり、花粉の少ないスギ品種の開発に力を入れているそうです。


<まとめ>


【森林環境税】その使い道は、放置されたままのスギやヒノキなど、民間の人工林の間伐などの森林整備や高齢化が問題となる林業人材育成などに活用すると言われています。
森林には二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防ぐ役割に加え、土砂災害の防止効果もあるそうです。

都心の方では環境税の効果を目で見て実感することは難しいかもしれません。
二重課税となる問題も多くの地域でありますし、市町村と国とで使い道を明確にし、環境税という名にふさわしい素敵な使われ方をすることを願います。

林業等に興味のある方は是非、おむすビーズの林業体験にご参加ください。
中山間地域を訪れば、林業の今の在り方や現場間を感じることができるはずです。


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